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[コメント] 幻魔大戦(1983/日)

原作者でさえ呆れたと言う作品です。音楽で+1。
甘崎庵

 平井和正のベスト・セラー「幻魔大戦」を映画化したもの。元々原作は最初の頃はアクション作品としてまとまっていたのに(この辺りは石ノ森章太郎が漫画でも描いている)、中盤から新興宗教団体の話になり、作者自身が変な電波を受け取るようになるに至り、物語そのものが破綻してしまっている。最後はほとんど向こうの世界に行って帰ってこなくなり、物語は中断したまま。そんな作品を全部読んでしまった自分がひたすら悲しい。

 この映画を観るとますます悲しくなる。大友克弘の描くキャラクターが悲しいほど似合っていない。更に途中から強引に辻褄合わせのために作られたストーリーが設定を完全に無視しているため、もはや見ていられない。丈のシスコンぶりとか、あれだけやって倒せなかった幻魔が実にあっさりと殺されるとか、どう考えても異常だろ。とか画面に向かって突っ込んでいた。特に最後の敵(大体こんなもん出す方がどうかしてる)カフーに至っては…いくら何でも本当に永井荷風そっくりに描くこともあるまいに。

 ただ、この作品たった一つだけ素晴らしいのがある。それが歌。ローズマリー・バトラーの歌は本当に沁み入る。放映中無茶苦茶に怒っていても、何となく歌で癒された気がしてくる。

 この年は確か「アニメ映画元年」とかでこれ以外にも『クラッシャー・ジョウ』とか『うる星やつら オンリー・ユー』とかも出ていて、これが一番金かけた割に一番客が入らなかったはず。角川はムキになってキャンペーン張ってたけど。愚作を金の力で持ち上げようとする角川商法。だから当時の角川は嫌いだった。

(評価:★2)

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