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[コメント] ラブ・オブ・ザ・ゲーム(1999/米)

タイガース対ヤンキースの試合? うんにゃ。これはケヴィン=コスナーサム=ライミの戦いだ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 個人的な好みで言わせてもらうと、ケヴィン=コスナーはナルシストぶりが嫌い。はっきり言ってしまえば寒気がする。「俺が主役だ」「俺は常に正しいぞ」と言う主張が全身からオーラとなって立ち上り、彼一人しか画面に出ていないシーンが山盛り。彼の映画を観る度に、その自己主張がむかつく。対するサム=ライミ監督はデビュー作の『死霊のはらわた』でファンになって以来、常にチェックし続けてきた監督。一体この二人の勝負はどうなるのか。はっきり言ってこの映画の興味はそこにこそあった。

 この映画は“大投手の孤独”に焦点が当てられている。つまり、マウンド上のピッチャー一人がとにかく目立つ作品。まさしくケヴィン=コスナーのために、ナルシストぶり全開のために用意されたような舞台。これで、「あ〜、この映画、絶対駄目だわ」と心の中で断定した(事実コスナーはこの年、ラジー賞を受賞してるし)。

 確かにその通り。いや、それ以上だった。時間的なパーセンテージにして、これほど主役一人だけが画面にいる作品は他に類を見ない。映画全般コスナーだらけ。う〜ん、何と濃ゆい映画だろう。

 しかし、しかしである。何故か、今回に関し、それはあまり気にならなかった。

 これは、演出の巧さだ。確かにコスナー演じるチャペルが中心であり、画面には彼ばかりが映っているが、緊張ある試合の展開や、回想でのチャペルの人間的な関わり合いなど、飽きさせない工夫がなされていて、それが上手い具合に画面の緊張感につながっていたのかも知れない。それに一試合限りの試合と言うのも良かった。普通の試合を見ている感じで映画を観られたから、映画を観てるってよりも野球の試合を見てる気分にさせてくれたからなんじゃないかと思う。

 ケヴィン=コスナーサム=ライミ。この勝負は私の中ではライミ監督に軍配があがったようだ。

(評価:★4)

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