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[コメント] ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994/米)

オリバー・ストーン監督作品の中ではおそらくこれは異端的且つ失敗作品になるんだろうけど、監督作品の中では私は一番気に入ってます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 『パルプ・フィクション』『トゥルー・ロマンス』を観て、これは新しい感性の暴力映画だと思い、タランティーノ原案と言うことで観ることにした。ただ、私の嫌いなオリバー・ストーン監督作品だったため、映画では観る気が起きず、ビデオで。

 確かにタランティーノ調の暴力逃避行だった。その中に刺激的な映像やら悪口やらを山ほどぶち込んで仕上げているのだが、根本的に疑問が残る。何となく吹っ切れていない感じがするのだ。タランティーノ映画のおもしろさは徹底したモラルの欠如にある。モラルに対し反抗するのでなく、最初からそんなものを前提としていないからどこか突き抜けたような爽快感がある。それに対し、ストーンが作ると、マロリーとミッキーの二人は「モラルの破壊者」と言う、モラルを前提とした人物として捉えられている。充分刺激的であっても、そもそもが手堅い映画の作りの上にタランティーノ調のスパイスを振りかけたと言う程度の作品に仕上がっているわけだ。

 決してそれが悪いと言うつもりはないが、脚本書いたタランティーノが映画の出来を観て激怒したと言う理由はよく分かる。描くものは同じでも中心が明らかにずれているんだから。それでも真面目なオリバー・ストーンにはこれが限界だったんだろう。

 主人公クラスがしっかり実力派俳優で固められているのはさすが一流監督。こればかりは認めずにはいられまい。 

(評価:★3)

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