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[コメント] クォ・ヴァディス(1951/米)

作りは納得できるのだが、主題がずれてるようにしか思えない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ちょっとだけ昔語りをさせていただきたい。本サイトには読書館があるが、実際私は一般と比べると随分な量の読書家ではある。そしてそのきっかけとなった本というのがあるのだが、短いスパンで4冊ほど(4シリーズと言っても良いか?)の、私にとっては重要な作品を読み込んだ。その一冊が本作だった。

 正直、本を読んでこんなに感動したのは何年ぶりだろう。と思えたほどだったし、今も2代目が私の本棚の奥に鎮座している。

 その感動を味わいたいという思いは今も続いており、今も本を捜し求め続けているのが今の状況。

 そう言うこともあって、その映画作はとても観たいという思いもあるのはあったのだが、50年代ハリウッドであの長い作品を一本の映画にするとなると、出来は想像がつくので、あまり観たくないような気もそこはかと…  でも結局は食わず嫌いはいけないとビデオにて拝見してみたのだが…

 少なくとも、私が最初に危惧したものは、見事に的中したようだ。

 この原作は大変長いのだが、ストーリーフローは実に単純なラブロマンスものである。そして映画にするとなると、その物語を追うだけになるのだが、これでは原作の魅力を全く表現できないのだ。少なくとも、原作ファンの中に、これをラブロマンスとしてだけ解釈する人間ってどれだけいるんだ?

 映画としてはそつなくまとめられているし、原作の印象的な物語はちゃんと入っている。だけど作品の持っていた、本質をことごとく無駄にしたとしか思えなかった。

 そう作るしかなかったのかもしれないが、これでは原作の魅力をまるで活かしてない。

 原作の本当にすごいところは、愛こそ全て!ではなく、赦すということの大切さではないのか?確かにそれは現実離れしたものなのかもしれないが、そう言う幻想だって重要だろう。映画ではその部分がとにかくおざなりにされてしまった感じ。  とても欲求不満に陥ってしまった感じだよ。

(評価:★3)

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