コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ミッション・トゥ・マーズ(2000/米)

“あの映画”とか、“あの映画”とかとよく似ているとはコメンテーターの方の多くも言っておられるけど、真っ先に…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 日本初のオリジナル・ビデオ・アニメーション『ダロス』(監督押井守)を思い出したのって、コメンテーターの中に一体どれくらいいるんだろう?………私だけ?

………………………………閑話休題……………………………………………………

 宇宙を舞台にしたSF映画と言うのは、リアルさと物語性との間にあって、匙加減が難しい。リアルにすれば良いと言うものでもない。そうしてしまうと極めて制限の多い宇宙服の動きやら慣性の法則やら弾道計算やらが無茶苦茶に入ってきて、まず極めてのろのろした動きしか出来ず、撮影に苦労する割にドラマを作るのは困難(勿論これで上手いこといった作品も結構あるよ。『2001年宇宙の旅』とか、『アポロ13』とか…)。逆にその辺のリアルさを廃したからこそ、『スター・ウォーズ』であれ、『宇宙大作戦』であれ、佳作足り得た。尤もあまりにもその辺何にも考えないで作ると、『アルマゲドン』になってしまう危険性を持つが。

 で、本作だが…私は明らかに失敗だと思う。NASAの監修の元、宇宙での生活をデ・パルマ調に“リアルに”撮ったつもりだろうが、リアル指向なら、もう少し慣性の法則くらいもう少し真剣に考えておいて欲しかった。なまじ多少考えてる分、妙に中途半端な描写で、無駄な努力してるな〜って感じ。宇宙船の中はどこかの映画で見たような光景が展開してるし(それに、あの程度の回転で宇宙船の中であんな重力が得られる分けなかろうに)、あとデブリ(宇宙ゴミ)衝突についてももリアリティ無し。あの大きさのデブリだったら、多分、宇宙船そのものを破壊してるよ。

 あの火星降下については、むしろリアリティを排除したからこそ、素直に楽しめたようなもんだ…変な感心の仕方だな(笑)。正直『アルマゲドン』とまでは行かなくても、もう少しリアリティ落とした方が良かったと思うよ。この作品だったら。

 更にあの凄まじい色彩感覚。場面が変わる度、全く周囲の色を変えるのは良いんだけど、真っ赤、真っ白、真っ黒の繰り返しは目が疲れて仕方ない。これも“リアル”と言うには問題があるし…特に最初に火星のシーンを長めに撮ったのは致命的。あの赤ばっかりの描写のお陰で、最初の30分で目が疲れきってしまう。

 そしてトドメにラストのあのオチは『2001年宇宙の旅』と『未知との遭遇』から良いとこ取りしてるだけ。更に火星人の姿はあまりにステロタイプだし。監督のイマジネーションの貧困さをモロに出してしまった。

 一言デ・パルマに言いたい。イマジネーションが貧困なのは別に恥じゃないぞ。カメラ・ワークや、アクション・シーンの見せ方は上手いんだから、そっちの方で才能を発揮してくれれば良いじゃないか。これからイマジネーションを必要とする作品は断りなさい。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)モノリス砥石 ina[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。