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[コメント] 愛と喝采の日々(1977/米)

結局この作品のアカデミーノミネートはいかに役者を活かすことが出来たか、それだけにかかっているのでしょう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 一瞬の栄光を求め、一生を賭けるバレリーナの生涯。一人はそれを諦め、もう一人は過去の栄光にしがみつく二人の中年女性を主軸に若き天才バレリーナを絡めて描いた作品。正直な話、作品のストーリーそのものは平凡で、さほどたいした作品ではないのだが、何と言っても役者が上手い。特にマクレーン、バンクロフト共に円熟した演技を魅せてくれる。。又、カメラ・ワークもたいしたもので、いかに人を上手く撮るか、よほど熟知してなければ無理だろう。

 中年女性を演じるシャーリー・マクレーンは相変わらずの巧さを誇るが、よく見ると、彼女のアップに限り、画面をけぶらせている。それが演出なのか、彼女自身がアップで撮られることを良しとしないのかは不明。逆にミハイル・バリシニコフレスリー・ブラウンのような若々しい人間の場合、エッジが立つほどくっきりと映している。その辺の対比を見てみるのも又、映画の楽しみだろう。

 思えばバレエを題材とした映画はかなり多いが、この映画ほど、脚の動きに注目した作品も少ない。映画は目で演技し、バレエは脚で演技する。それをきっちり撮りきった撮影は見事!

 ストーリーにさほど目立ったところはないものの、互いに仮面をかぶり、わだかまりを十数年持ち続けてきた最後のマクレーンとバンクロフトの本音暴露シーンは結構凄い。憑き物が落ちたように笑い合う二人の姿はこの映画のベスト・ショット。やっぱ上手いわ。歳食ってもちゃんと輝いて見えるよ。

(評価:★4)

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