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[コメント] プロデューサーズ(1968/米)

リメイクの後に観ましたが、それでも大笑いできますし、幸せな気分にさせられます。文句なし。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 後々、様々なお騒がせ作品を作り上げるブルックス監督の長編デビュー作で、一本目でいきなり脚本を受賞。更にブルックス自身が作詞・作曲したダンスナンバーがことごとくヒット。特にSpringtime for Hitlerは後々の語りぐさになるほどの超有名ナンバーとなり、ブルックスの才人ぶりを世に知らしめた。

 この年のハリウッドは時ならぬミュージカルブームで、ちゃっかり便乗して作られた作品と思いきや…毒気の固まりのような無茶苦茶な作品が作られてしまった(それでも以降の作品と較べて品がよいと言われるところがブルックス監督らしいところ)。きわどいギャグが目白押しで、随分緩やかになったハリウッドコードも、かなりギリギリな位置にあったんじゃ無かろうか?

 後に本当のブロードウェイ・ミュージカルとなり、2005年にリメイクである『プロデューサーズ』(2005)が公開。こちらの方を先に劇場で観て、とても楽しかったので、オリジナルを観ることを切望していたが、あっけなくレンタルビデオ店で発見。早速借りて観たが、ストーリーは同じとはいえ、やはり時代背景を考えると、本作はどれだけ画期的だか分かる。

 ゲイっぽい演出家を敢えて出したのも画期的だが、何より、それまで一種のタブー視されていたヒットラーを完全にギャグにしてしまったと言う点はもっと評価されて然りだろう。ユダヤ人の影響がかなり強いハリウッドでは特にヒットラーの描写は徹底的にタブー視されていたが、その当のユダヤ人である監督がこんなものを作ってしまったため、以降はある程度政治に突っ込んだ内容の娯楽作が作られるようになったため、一気に映画の表現の幅が広がった。これ又映画史にあっては重要な作品であると言えるだろう。

 登場するキャラも見事で、モステルとワイルダーのコンビは胡散臭さ満点。この二人が得体の知れない視線を交わし合い、突然踊り出すのは、それだけで大笑いだけど、完全に自分の夢の世界に酔ってる脚本家とか演出家の蒼々たる面々。そして圧巻のミュージカルシーン。あの鏡を使った演出は見事に映えてる。 

(評価:★5)

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