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[コメント] キャスト・アウェイ(2000/米)

この記事書く直前まで、完全にこの映画の主題を見誤っていたことに気付きました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 初見での感想は、「こんなもんか?」だった。無人島での生活があまりに簡単すぎたのがその理由。苦労して苦労して生活を整えていく過程が面白いんだけどな。私はこう考えていた。主人公の普通の生活は極めて少なくして、無人島での生活を主にしてほしい。そして主人公は生きること、快適に暮らすことに貪欲で、無人島での生活が充実したものになる。

 ところが、ここでのコメント考えていたら、完全にこの映画の主題を見誤っていた事に気付いた。

 この映画の題名『cast away』。これは「見捨てる」と言う意味。これは単純に無人島物語だから文明から見捨てられた、と言うだけではない。主人公チャックは最初の生活で時間に追われる生活を送っていた。それが無人島に行くことによって時間から見捨てられる。無人島から脱出するとき、ウィルソンから見捨てられる(見捨てる?)、そして再び文明世界に戻ったとき、恋人から捨てられていたことを知る。

 位相から位相へ。立場が変わるときには何かにより見捨て(られ)ていくものだ。ただし、それを決して悲惨に描いてはいない。文明世界から無人島へ渡ったときは時間に見捨てられ、無制限に用いることが出来る時間を手に入れた。擬人化されたボールのウィルソンに見捨てられたとき、本当の人間を得る。それで最後に恋人を失った時、何を得たのか。それは明確には描かれていないが、ラストシーンに登場する荷物には(オープニングにも出ていたけど)、「翼」が描かれている。彼はひょっとして、象徴的に自由な翼を手に入れた。と言うことなのかも知れない。運命の変遷を経て、彼は何に捨てられ、何を得たのか?そう考えると、この作品にはえらいメッセージ性を感じてしまう。

(評価:★4)

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