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[コメント] ザ・ワン(2001/米)

ドレッド・ヘアとか金髪とかしてるジェット・リー…パラレルワールドの中には相当美的感覚が違う世界があるようだ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 監督のジェームズ=ウォンにはデビュー作でもある前作『ファイナル・デスティネーション』の完成度の高さに驚かされ、純粋な娯楽作と言う意味では注目度が最も高かった監督。

 それで本作品の出来と言えば、娯楽作品に徹していて相当完成度は高かった。全編に渡って細かいケレン味がよく利いていたし、何より主演にジェット=リーを起用したのは良かった(リーとしても、『マトリクス2』を蹴ってまでこの映画に出た甲斐があったんじゃないかな?)。彼の功夫アクションあってこそ、の出来だった。

 ところでこの映画を通して見て、本当に見たい功夫映画とは何か、と言うことに気付かされた。

 この映画においては、二人のジェット=リーが一対一で戦うのだが、同じ中国拳法を用いているのにその質が全く違っている。最初こそユーロウとゲイブは同じような戦い方をしているのに、圧倒的なユーロウのパワーの前に、ゲイブは歯が立たない。それで戦い方を変えた時、今までの直線的な動きから円運動を主体とする、つまり相手の力を受け流す形での戦い方に切り替える(劇中ユーロウ自身が「攻撃は相手の最短距離、つまり直線で行う」とあらかじめ言っておく所が良い伏線になっている)。結果ゲイブはユーロウの直線的な攻撃をことごとく凌ぎきって勝利を得る。これを見たときに思った。そうだよ。功夫アクションはこうでなくちゃ。

 功夫アクションは単純に動きが派手であれば良いというわけではない。はっきりと系統づけられた動きを用い、系統の違う二種類の戦い方で1対1の戦いを演出するところにこそ、楽しさあったんだ。最近のジャッキー=チェンの映画がどうも今ひとつに思えるのは、純粋な功夫アクションから離れただけでなく、本来的にある功夫の面白さ、素晴らしさを無視するようになったからかも知れない。

 CGがメインの話のように見えて、実はかなり純粋な功夫作品をハリウッドで作ったと言う事実を賞賛したい。 

(評価:★4)

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