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[コメント] X−MEN2(2003/米=独)

可哀想なのはサイクロップス。だって涙、拭けないんだよ。そんなことしたら指がなくなっちゃう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 前作『X−メン』のヒットを受けて作られた続編。

 監督のブライアン=シンガーはかなり買っている監督だが、前作『X−メン』の際のインタビューで「これは私の本当にやりたかったことではなかった」という記述を読んだ。

 前作は割合月並みな作品だって印象を受けたのは確かだが、それでもあれだけ出てくるキャラクターにしっかり見せ場を用意し、バランスは非常に良かったし、そのX−メン達の中心のストーリーを他のメジャーなキャラクターではなく吸い取り女(下品失礼!)のローグ(パキン)に持ってきたのも卓見だと思う(これも監督のインタビューだが、やりたいことが出来なかったから、ローグ(アンナ=パキン)をどう可愛く撮るかに心血を注いだとか)。普通の作品としては充分に面白かった。それを「本当にやりたかったことではなかった」など、よく言ったものだ。

 今回この続編を大変楽しみにしていたのは、実はそのインタビューあってのこと。一体この監督は何を本当は撮りたかったのだ?と言う疑問がどうしても頭から離れなかったから。

 それではっきり分かったのは、これは決して単なる続編で終わるものではない。と言うこと。これ又本作の監督の言葉だが、「これはX−メンサーガの一編だ」…確かに。

 前作でキャラクターは固定されているので、その魅力を十二分に活かしつつ、違った側面から作品を構築している。アメリカン・コミックでは割合あるパターンだけど、敵対する二大勢力が、更に大きな脅威の前に協力して戦うと言うパターンを踏襲しているが、アメリカン・ヒーローものとしてはこの話が一番燃える設定。ちゃんとその辺を顧慮しているんだろう。

 前作と較べると、アクション部分は少々抑えめだが、その分マイノリティとしてのミュータントの哀しさや、余計な能力を背負い込んでしまったが故の重みというものがよく表現できていたと思う。マイノリティとして生きねばならないが故に、自らのアイデンティティを過去に求めるウルヴァリンや、明るく振る舞っているが、家族の拒絶と出会うアイスマン、自らの力を自分のために使って何故悪いと葛藤するパイロ。自分の能力の故に人と触れあうことを極端に恐れるローグ。悪魔の如き容貌を持っているのに敬虔な心を持つナイト・クロウラー、プロフェッサーXの助手で、自らの能力がどんどん高まっていくことに恐れを覚えるローグなど、特に心理面での魅力は前作の比じゃない(その分リーダー格のサイクロップスとかストームは割喰ったが)。その辺を超越し、淡々と任務を果たそうとするミスティークやマグニートーも、主人公達の対極にあって上手い撮り方。冷徹な殺人鬼ユリコも良し。

 ストーリー面で言うのなら、ウルヴァリンの過去探しと人間対ミュータントの戦いに主軸がおかれ、なかなかハードなものに仕上がっている。マグニートーの牢からの脱出方法もなかなか捻りが効いてて良かった。ただ、意外だったのはまさかジーンがああなってしまうとは…原作コミックではジーンとサイクロップスの間にはケーブルという息子ができるはずなんだけどなあ…悪い言い方だが、前作と較べジーン役のヤンセンがすっかりおばさんっぽくなってしまったので(本当に失礼です。ごめんなさい)、続編を考えるなら、英断だったのかな?

 一つ難を言わせてもらうと、私の大好きなアラン=カミングをもうちょっと魅力的に撮って欲しかったってところかな?もし続編が出たときは彼の魅力を全開にして欲しい。次はどんなのが出るかな?希望としてはオメガ・レッドだけど、マグニートー対プロフェッサーX対人類って言う三つ巴の戦いにするならセンチネル(名前が良いね)も良いな(別に出るかどうかは分からない。希望的観測)。

(評価:★4)

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