コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] スコルピオンの恋まじない(2001/米=独)

決して大爆笑できるような作品でもないし、見終わった後、じーんと来るものでもありません。だけど、アレンを堪能できる作品と言うことは確かです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 アレンは時代時代において、彼しか作れないような作品を次々に作り出す精力的な監督だ。

 最も初期にはチャップリンばりに自らの肉体を使ったコメディが主だったが、内容は結構シニカルなものが多かった。その後、コメディ色を押さえ、むしろ自分自身の個性であるシニカルさを前面に出した作品を作るようになっていったが、近年は又方向転換してコメディ路線を走っている。題材こそ古き良きスクリューボール・コメディの形を取っているが、今のコメディは昔のような目で楽しませるコメディではなく、より知的に、人間の馬鹿馬鹿しさ加減を笑うような、やっぱりシニカルな笑いを提供するようになっているのが面白いところ。

 そのどれも、アレンしか作れない味がある。端的に言えば、アレンの作品とは、他のなにものでもなく、アレンの個性を観るために作られていると言っても良い。この雰囲気が好きな人は、どんなに作風が変わっても、やっぱり楽しいと思えるものだ。題材も物語も他愛ないものなのに、妙に惹かれるのはこの個性(アクと言っても良い)あってこそ。

 物語は大変単純で、しかも下手な演出で複雑にしてない分、もの凄くストレート。まるで50年代の映画を観てるみたいな気分にさせられる。しかし物語そのものは味があるし、オチも秀逸。単純ながら見事などんでん返しになってた。様々な遍歴を経て今なお継続中のアレンの恋愛経験のなせる技だったのだろう。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] 茅ヶ崎まゆ子[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。