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[コメント] ザ・ワン(2001/米)

スローモーションの美しさ
ina

この映画たぶんいろいろ文句を言われそうな気がする。なぜならつっこみ所が多すぎるからだ。例えばCGを多用した映像は「マトリックス」と比較されるだろうし、ストーリーもアイディアはいいが122人すぐ殺されていて物語的な盛り上がりに欠ける。リーの部屋の怪しいアジア風もやばいし、あと122人のジェット・リー、ドレッドヘアーや太ったリーは格好のネタになるだろう。とにかくがんばった映像の映画だが何かお粗末な感じがする。

しかし私はこの映画が大好きだ。それはあるシーンがとてつもなく良かったからだ。それはラストの火花の中のジェット・リー2人の戦い。これは私的に「戦いの美学」まで昇華したバイオレンス・アクションと言ってもいい。

工場で最後2人のジェット・リーが戦う。最初はカンフーとCGをうまく連動したアクションだがそれはあまり特筆するものではない。一人が工場の機械に叩き付けられ火花が雨のように降り注ぐ。ここからスタートだ。2人の戦いはあまりにもスピードが早く、彼等の動きに時間をあわせると火花がゆっくり落ちていく。彼等は通常のスピードで動いて背景の火花がスローモーションで花びらのように落ちていく。このシーンは芸術的な美しさだ。背景の時間をゆっくりにすることで彼等のスピードを表現している。ひとつ小爆発があり激しいロックが鳴り響く。今度は2人の戦いもスローモーション。「スローモーション」の中の「スローモーション」。「戦い」の中の「戦い」。時間を変化させてより戦いは深く深くなっていく。

ここしか良い所はなかった。けど十分だ。あの火花は雪や桜のようにゆっくり舞い落ちていた。ほんとうに美しい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)けにろん[*] IN4MATION[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] peacefullife[*] トシ[*] 甘崎庵[*]

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