私はそうは思わない。高畑監督が山形のパートで異常にリアリティーにこだわったのは、あくまでタエ子の少女時代との表現にギャップを持たせるためでしょう。それが成功したとは一概には言えない（特にあのほほのしわ）かもしれないけど、宮崎駿が言及した「実写でできるものをわざわざアニメでする輩」とは根本的に目的が違うんじゃないかと思います。

ただそういったこと以前に、私はこの主人公の「都会で行き詰ったから田舎で本当の私を見つけよう。」的な発想があまり好きではありません。どんなに救いがなくても、東京で歯を食いしばって生きていこうとする人のほうに魅力を感じるな。あくまでこれは、個人的な趣味の問題ですけれども。