「警察側からしか描いてないじゃないか。赤軍のほうはどうなってんだ！」というのが結構多いけど、どうなんだろう。映画っていうのは、そこまで全方位的に作らなきゃならないものなのだろうか。

原作を貫く大きなテーマとして、「薄給でこき使われながらも生命を危険にさらして義務を遂行した機動隊員の仲間たちの名誉を守る」という佐々淳行の思いがあった。そういう作品の映画化なんだから、警察側からの視点が専らになるのは当然で、立てこもった赤軍の犯人たちの心情が知りたいなら、坂口や永田の本を読むか、『光の雨』を観ればいい。

ただ、娯楽作品としては平板だし、妙に喜怒哀楽の豊かな役者の演技と余計なユーモアが実話の緊張感を削いでいるのも事実。情報を得たいなら原作を読めば十分、という気もするし。