[コメント] 刑務所の中(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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台詞原作からそのまんま引っ張ってきてるくせに、どのエピソードでも、一番肝心な言葉の手前で寸止めしてやんの。タバコが吸えないパラノイア的な苦しさとか、餌を与えられ豚になっていく身体、子どもにどうしても手紙の返事が出せない受刑者とか、仮釈放が決まっても檻の外に出て行くのが怖くて仕方ない受刑者のエピソード、甘シャリ食べるために見境をなくして危ない橋を渡る受刑者など、わたしには物語の肝に思われるところが、この映画では全部落ちてる。
パン食の日のエピソードでは、大切なのはいかに役者さんたちにおいしくマーガリン食べるさまを表現させるかじゃなくて、花輪さんの「ぐふっ、いいぞ〜。このままだと日本は食で崩壊するな」の一言だとわたしは思う。
免業日のエピソードでは、大切なのはいかにアルフォートが美味いかじゃなくて、俗世と切り離されてひたすら眠る花輪さんが、太陽や風や空と一生無縁な豚たちのことに思いをはせるあの瞬間だとわたしは思う。
花輪さんがやったのは刑務所礼賛じゃない(かといって道徳的な諭しでも全然ない)。この監督は作品の捉え方において、何か派手に勘違いしてるんじゃないかなあとわたしは思った。
まあ、花輪さんのタッチでは明治時代の建造物と見まがうばかりに描かれていた刑務所が、実写にするとやたら小奇麗になってしまったのはやむをえないと思うし、役者さんたちは(某クボヅカを除き)とてもよかったんだけど。
とにかく、原作読んでみて原作。おんもしれえから。
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