[コメント] フォレスト・ガンプ 一期一会(1994/米)
「やれ」と言われたことを疑うことなくひたすら実行、目上の人や親切にしてくれた相手には疑うことなくひたすらついていく。彼の目を通して、無残なほど整然と語られるアメリカ。ピュア?否、わたしはこの語り部から心も愛も感じることはなかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「朝起きました。顔を洗って歯を磨いて朝ご飯を食べました。学校に行きました。帰ってから宿題をしてテレビを見ました。晩御飯を食べて寝ました。おわり」・・・
できの悪い作文のごとく、出来事の羅列が続く。「しました、しました、しました・・・」わたしが知りたいのは「あなたはそれをどう感じた?」なのに。
出来事の羅列で綴る映画をダメとは言わない。その手法を用いた秀作はいくらもあると思う。でもわたしは、出来事の羅列から「こう見ろ!」「こう思え!」という創り手の“意図”ではなく、“心”を感じ取りたいのだ。
わたしにはわからない。なぜフォレスト・ガンプに語らせねばならなかったのか。
何も考えずただひたすら吸収することを純真・誠実と言い、何も考えずただひたすらひたむきであることを愛と言う。愛無き彼が、何の感慨も無く手に触れるものすべてを黄金に変えるさまは、あまりにも恐ろしかった。彼が象徴する「光」が、アメリカの歴史に覆いをかけ、すべてが善意の冗談になっていくようで、本当に、心底恐ろしかった。
定評のあるトム・ハンクスの演技だが、アカデミー以前からあの演技の片鱗は見せていた(『ビッグ』)。むしろわたしにはあの頃のほうがトムは素直に輝いていたように思うし、今回はそのストックを使いまわしているようにみえてしまった。
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