いやあの。最初は笑って観てたんですよ。「言え！クルーズ言え！“ファイトぉぉ、一発！”って言え！」（ロッククライミングシーン）とか、「おおっ“街の遊撃手”。ジェミニのＣＭだー。なつかしー」（車ぐるぐるシーン）とか言って。

んがっ。次の瞬間すっぱっぱでベッドにいる二人をみて椅子から墜落。

テメコラァ！プロのスパイがとりあえずエッチかよ！

人間、死を間近に感じる経験をすると生殖に目覚めたり、ドキドキする体験を異性と共有するとそのドキドキを相手に対するトキメキと勘違いしたりするらしいから、動機づけはないわけじゃないだろうけど、アンタ仮にも一流のスパイなんでしょ？しかも相手はミッション遂行のための相棒よ？イキナリ公私混同なんて何かふつーの会社員でもクビにされそうなんですけど。確かに指令で「名うての女泥棒と接触し、ミッションのメンバーに引き込め」とは言ってたけど、「接触」の意味と場所間違ってますぜ、クルーズ。

「仕事は仕事。プライベートはプライベート。クールに割り切っているからこそできるオトナの関係なのだ」とか言うのかもしれないけど、クルーズ、アンタ、ボスに「彼女はオトリ用」と知らされて、ショック受けてなかった？挙句の果てには「だったら最初から言え！」って逆ギレしてたし。じゃ、ナニ？彼女が危険な目に遭うってわかってたら、寝たりしなかったとでも言うのか？？？ああ･･･プロのスパイが私情に動かされまくり･･･わたしがホプキンスならこんな股ぐらの緩い部下、即ホストクラブに売り飛ばすんだけど。

その後もあまりのツッコミどころの多さに、クルーズ氏よろしく常に半口あけて鑑賞。そのうち、中盤でふと気が付いた。

あれ？ミッションどこ行った？

気が付いたらキメラどっか行っちゃってます。既にクルーズ氏、最新鋭の装備を勝手に流用し、仲間2人の命を危険にさらしてまで私事に専念してます（カノジョ奪取）。ってかそもそも最初のミッションって「キメラの入手」じゃなかったっけ？途中からトムが勝手に「キメラの破壊」に切り替えてるんだけど・・・

さてクライマックス。トライアンフとドカちゃんのチェイス。オフロードに入るとどんどんタイヤの溝が深くなります。

ああ･･･やっぱり･･･

ミスタークルーズとミスターウーは、どうやらimpossibleの意味はとてもよく把握していらっしゃるようです。でも使用法が･･･使用法が決定的に間違っている･･･

そして、最後は結局男二人、コブシでタイマン勝負です。もう最新鋭の装備もなーんの意味もありません。すごいぞクルーズ！それいけクルーズ！飛び蹴り、膝蹴り、きりもみキック！一方的に攻めるぞクルーズ！・・・でも無茶苦茶食らってるのに相手全然元気だぞクルーズ！実はヘナチョコじゃないのかクルーズ！おまけに途中点々と「東映」のサブリミナル（岩と波）が挟まってるぞクルーズ！

ふと気が付けばキメラの入手は、なし崩し的なハッピーエンドの彼方に消え去っておりました。これに命をかけた博士の人生って一体・・・そしてこの話の核はどこに・・・

あ、もしかして、スパイ界への勧誘だったのかも。「明るい職場です。公私混同アリ。ミッション果たせなくても大丈夫です。オフには仕事で知り合ったピチピチのカノジョと公園を散歩しませんか？なお、死して屍拾うものなし」・・・うーむ。