暗い場所から明るい場所を見る、 それはもちろん連続殺人を捕まえられそうな状況で未だ捕まえる事が出来ないという焦燥感が充満した現状であるし、世の中を取り巻く実際は暗い世情もその不安感を助長させる。

考えて見れば、上述の暗い場所と明るい場所ともにその意味するトコロは概念の上で言葉にしてみれば上述の様に極めて明確だ。 だから犯人は捕まりそうだったのだけど捕まりませんでしたと言う捜査の結果も、見ていて私は「まぁそう言う事もあるよなぁ」と結果自体は捕まらなかったと言う結果がある以上そこまでの不安は見た後そこまで残らない。

しかしラスト物語はその明確さを極めて単純なセリフで拒絶する。 犯人は普通の顔の人だったと言うセリフを反復しながら。

これには参った、もう時間の経過ととも世情も移り変わり少しは薄れたその過去の汚点を掘り起こし、世の中明るくなっても実際にあった過去は決して消える事は無いと思い起こさせるし、何より自分が追っていた犯人がとても普通の人だったと言う明確では無い曖昧な現実をこの映画は突きつけるからだ。

暗い場所からモノを見てしまった人間は、時間が経過しても早々そこから明るい場所に行く事は出来ない、常に明るい場所を眺めるコトしか出来ないのだと思ってしまった。

暗い映画だが久々にパワーのある映画だった。かなり満足と言えば満足。