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[コメント] TIME タイム(2011/米)

"Time is money"「時は金なり」をお話にするとこんな風になるんだよということかなと思って見たけど、中身はもっと濃かった。
Osuone.B.Gloss

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







すごい世界観だ。財産=寿命という世界だ。実にわかりやすい。働いた対価を得なければ死なのだ。働かざるもの食うべからずどころか、生きるべからずなのだ。ニートなんて存在できないわけだ。しかし、働いても働いても寿命は、数日から数週間。朝起きた瞬間に「寿命はあと1日」なんて状態が続くわけだから、自転車操業も甚だしい。止まれば死。病気にもなれやしない。入院なんてしてられないんだから、おそらくスラムには病院なんてないんだろうな。全くもって女王アリが働きアリを管理するには、優れたシステムだ。しかも、時間を持たなければ富裕層の住む中枢には絶対に近づけないのだから。

そんな世界観のSF映画なのだが、人生って時間だけではないのだと考えさせられた。人間には、精神があり、それが生甲斐を感じさせてくれるのだ。スラムの人々は、生きるために動き続けることしかなく、富裕層の人々も永遠に近い時間をただ生きるだけであるために人生の目的を見いだせないでいる。時間は短すぎても長すぎてもだめなのだ。人間の寿命の中で目的や夢を見つけ、その実現のために時間を大切に使うことが、よき人生なのかもしれないと、どこかの哲学者が言ったであろう内容が思い浮かんだ。そして、今日という日を大切に生きようと。

しかし、朝起きて残り23時間の状態で、コーヒーに4分遣うとか、女の子に5分をあげるとかいう余裕は、自分にはないかもしれない。おそらく、寝ずに働き、少しの余裕がないと精神的に追い詰められてしまうと思うのだ。小市民の自分には、コーヒーに4分なんてとんでもない。PASMOやnanacoの残高を気にしている超小市民な自分はそんなところだ。そうか。この映画は、よくよく考えると現在の薄給でほとんど貯蓄もできず、年金も何やら心配な世の中で、どーんと何かを買うことのできない自分の生活そのものだったのだ。しかし、今回は、その小市民も2時間の映画をゆっくり見ることができて満足した。とすると、この映画には、やはり2時間とか払うのだろうか?寿命2時間分の価値はあったのかは、わからないが、ストレス解消の時間にはなった。

最後に、ひとつ突っ込みを。バスの乗車賃が「2時間」は高すぎるだろ!コーヒーが4分なんだぞ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)YO--CHAN[*] starchild 死ぬまでシネマ[*] おーい粗茶[*] kiona[*] ダリア[*]

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