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[コメント] シンデレラマン(2005/米)

家族のために戦えることの幸せをまっすぐに描いた秀作/でも妻メイと宿敵ベアの描き方で深みを失っている
パッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







■迫力映像と音楽に引き込まれる

映画はボクシングシーンが秀逸。特にアップから入る映像とトーマス・ニューマンの音楽に気持ちを引っ張られ、引き込まれていく。

■家族のために戦える幸せ、戦えない男たちの悲哀を描く

とにかくひねりを加えない真っ直ぐな脚本で家族愛を描ききっている。

大恐慌時代。家族を守ろうにも、術のない親父がたくさんいる。戦おうにも戦えない男たちは、持って行き場のない気持ちを家族のために苦闘するブラドックに託す。

現代の私たち親父は、家族のためにちゃんと戦っているのだろうか。子どもを守ることの本当の意味も曖昧になってしまったようで考えさせられる。

■この頃、ボクシングは大きな背景を背負っていた

マックス・ベアは、トランクスにダビデの星を刺繍し、当時ヒットラー率いるナチスの英雄シュメーリングを破ったことから、ユダヤ民族の英雄として扱われたボクサーだ。

そのベアを倒した民衆の星であり白人であるブラドックを破ったのは、黒人ジョー・ルイスだった。そして、ベアは再起戦でジョー・ルイスと戦って破れており、その時「ハーレム全体と戦っているようだった」と言ったそうだ。

■ブラドックとベアの対比は、あまりに短絡的すぎる

ベアは、ユダヤ民族の期待を背負って戦い、民衆のヒーローと戦って破れ、黒人の希望とも戦った。

リングで2人を殺したとされたベアは、「その後何十年も悪夢に悩んだ(息子談)」そうだ。さらに殺人の嫌疑をかけられ、州のリングから締め出されたりもする。だが、亡くなったボクサーの子どもを大学に行かせるなど、家族を支援していたらしい。

ブラドックとの対比がきつすぎて、単なるヒール役に見えたのはよくなかった。もう少しベアの人間性とボクサーとしての狂気の両面をちゃんと見せるべきだったと思う。

■ブラドック夫婦に何かが足りない

夫婦の描き方が、民衆へのPRビデオのようにさえ見えてしまった。もっと人間的な、あるいは個人的な何かが感じられてこそ、伝わるものがあるのにと思った。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)リア[*] Yasu[*] トシ[*]

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