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[コメント] クリクリのいた夏(1999/仏)

「自分のことは自分で決める自由」。この小さな幸せが今一番得難くて、だからこそ、愛おしくて、何度も確かめたくて、噛み締めたくて、また観てしまう、そんな映画です。
パッチ

 「自分のことは自分で決める」。まるで民主主義の本旨みたいだけど、今、私たちの生活の中では、なかなかそうはいかないのが現実です。社会の速い流れに押し流されて、いろいろなしがらみに引きずられて、自分で選んで生きているのかわからなくなる時があります。本当に自分のリズムで暮らしているのか疑問を持つことがあります。

 この映画は、沼地で自分のリズムで暮らす男たちのお話です。子どもたちも子どものリズムで暮らしています。それが、なんとも懐かしいような、羨ましいような、愛おしいような、そんな感じがして、でも現実の生活に戻るとその感覚を忘れてしまいそうで、また、確かめたくなるのです。そうして、何度も何度も観たくなるそんな映画です。

 一種の「癒し」の映画かもしれません。自由な幸せなゆったりとしたリズムが私たちを癒してくれるのです。じゃあ、こういう生活を自分でするかと言えば、そうはできないのが私を含めた多くの人の答えではないでしょうか。

 映画自体は、この幸せな情景を映し出す工夫がされています。美しい映像、観客に負担なく必要なことを描き出している構成、魅力的なキャラクターの設定と丹念な描写など、実に見事です。

 例えば冒頭の花を摘んで馬車で家に帰るシーンだけで、豊かな自然と人間関係、ガリス達の過去のことまでわからせてくれます。4人の女性はそれぞれに現実の社会のことを語ってくれています。マリー、ぺぺの娘、老婦人、クリクリのお母さん。みんなそれぞれの立場で、この男たちに対する社会の目がどんなものなのかを表していると思います。

 そして、多くの方がコメントされているように、それぞれのキャラクターが本当に魅力的で、これほど全てのキャラクターが印象に深く残る映画も珍しいと思いました。

 とにかく大好きな映画です。

 ※この映画は、シネスケのみなさんのコメントだけで、どうしようもなく観たくなった映画です。今では私の大切な映画の一本になりました。この映画にコメントを頂いたみなさん、ありがとうございました。

(評価:★5)

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