[コメント] シッピング・ニュース(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
■小さなまちに生きる幸せ
小さなまちに生きることの「幸せ」がさりげなく表現されていて、私の胸を静かに打った。自然に影響される生活、その小さなまちに暮らす知恵豊かな人たち、それぞれの持つ心の背景をも知り合う人たちがそこにいる。
小さなまちだからこそ、それぞれに嫌でも活躍の場がある。自分の存在に期待してくれる人たちの中にいて、塗り込められていた力が湧き出てくる。
こうして、このまちで壊れた心が少しずつ癒されていく様を、水を克服していく姿とダブらせて上手に見せていく。一つ一つの出来事を経ながら、船に乗る姿が明らかに力強く見えてくる。
■父親としての再生の物語
もうひとつ、彼が明らかに変わっていくのが、子どもに対するまなざしだ。
彼には父親として根本的に欠落したものがあった。社会性の欠如だ。
父親は子どもに社会性を感じさせてやることが最も重要な役割だと思う。彼は、もともと子どもへの愛情は深かったが、それだけでは母親にかなわない、だから子どもは心を開かない。彼は、この小さなまちで社会性を徐々に身につけることで、子どもをしっかり見つめることができるようになり、父親としても再生されていく。
でも、嵐の夜に子どもをベッドに残して、出て行って欲しくない。嵐の中をウェイヴィを求めに行く最も重要なシーンなんだろうが、重要なシーンだからこそ配慮が欲しい。彼女は一人で家の崩壊に遭遇する。彼がベッドに戻ったとき、彼女は目をしっかり見開いていた。彼がいないことに気づいて、彼女はどう感じたのかどうしても気になってしまう。
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