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[コメント] ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)

切ない映画ですね。邦題からは想像できないほど。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いじめられっこのオスカーと吸血鬼エリとの切ないロマンス?。わりと見たまま、感じたままの第一印象のあと、ここのコメントを見て、いろいろ腑に落ちる。

少年はどこにも居場所がない。唯一楽しそうだった父親との再会も、無粋な来客によって、居場所がなくなる。「なんだこいつ、居心地がいいなぁとか、うざいなコイツ」と思っていたら、あれは「彼氏」だったのね。

もうひとつ、着替えのシーンで覗き見た時の「ぼかし」。あれを普通にただボカシているんだと思ったよ。赤い戦車さんのコメントで目からウロコだった。少年が女の子の裸を覗き見るんだったら、「乳房」のほうが自然なのに、「下?」と思っていたんですが、そうなると意味がまるで違うんじゃないですか。

切ないのは二人だけじゃない。「エリの父」の中年男。結構ドジ踏んでるし、エリに「どうすんのよ!」と責められて。「今夜だけはあの少年に会わないでほしい」といいながら、「透明な液体」を用意する男。そして自ら顔を焼きながら、最後の力を振り絞って、エリに「最期の奉仕」。そのまま地上に堕ちてゆく。

もうひとつ、エリに血を吸われ、徐々に吸血鬼化していったヴィルギニア。それを感じながら、怖れながら、吸血鬼になる前に、人間であるうちに、すこし微笑みながら「カーテンをあけて」といって、自ら燃えていった。彼女の夫(彼氏?)の最期も悲しい。

「もうここにはいられない」と去ったエリ。それでも話は終わらず、プールのシーン。オスカーは水の中。そのとき水の上で繰り広げられた惨劇の、印象的な見せ方。そして何気に一人生き残ってるんだよね。

そして、列車で去るオスカーと箱入りエリ。

終始「温度の低い」映画でしたが、最後の列車のシーンは、「春っぽい暖かさ」を感じる。先行きは全く判らないのに。

実は、刈谷日劇さんの特集で、この作品と、リメイクの『モールス』を二本続けて鑑賞。なかなかハードな4時間でした。

(評価:★4)

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