[コメント] 17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン(2018/オーストリア=独)
主人公フランツの成長記、青春譚。そして迫りくるナチスの闇。そこに「フロイト教授」という実在の人物を絡ませた映画なんですが・・・異彩な映画です。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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その「迫りくるナチスの闇」という部分を映像化しようとすると、似たような展開になってしまうのが否めない。そこはフランツを主人公に据えたので、若者らしい恋心、欲望、嫉妬をストレートに表現している。
そして教授のアドバイスで、見た夢を記録すること。その夢が、どれもこれも「不穏な夢」で。少年が大人になるようなときに「階段を上る」とか表現することがあるが、フランツは「階段を下りながら」大人になっていった気がする。夢のシーンは鈍い色彩だ。さらに目の前の出来事を「想像(願望)」と「現実」と、2回繰り返す。
大げさ目な邦題のせいで(原題は「タバコ屋」の意)、フロイト教授と青年の交流ばかりに目が行きがちになっているが、彼の周りにはユダヤ(教授)以外にも、アカ(常連客)、ボヘミアン(アネシュカ)、 反体制寄り(店主)など、ナチスに目を付けられやすい人が揃っている。そんな中で青年の最後の行動は切ないし、松葉杖のシーンなどは、その伏線だ。同郷の親ナチスの男が心配するほど。
これはフランツの姿を借りて、その時代のオーストリアの真の姿を描いたのか。
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