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[コメント] 17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン(2018/オーストリア=独)

主人公フランツの成長記、青春譚。そして迫りくるナチスの闇。そこに「フロイト教授」という実在の人物を絡ませた映画なんですが・・・異彩な映画です。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その「迫りくるナチスの闇」という部分を映像化しようとすると、似たような展開になってしまうのが否めない。そこはフランツを主人公に据えたので、若者らしい恋心、欲望、嫉妬をストレートに表現している。

そして教授のアドバイスで、見た夢を記録すること。その夢が、どれもこれも「不穏な夢」で。少年が大人になるようなときに「階段を上る」とか表現することがあるが、フランツは「階段を下りながら」大人になっていった気がする。夢のシーンは鈍い色彩だ。さらに目の前の出来事を「想像(願望)」と「現実」と、2回繰り返す。

大げさ目な邦題のせいで(原題は「タバコ屋」の意)、フロイト教授と青年の交流ばかりに目が行きがちになっているが、彼の周りにはユダヤ(教授)以外にも、アカ(常連客)、ボヘミアン(アネシュカ)、 反体制寄り(店主)など、ナチスに目を付けられやすい人が揃っている。そんな中で青年の最後の行動は切ないし、松葉杖のシーンなどは、その伏線だ。同郷の親ナチスの男が心配するほど。

これはフランツの姿を借りて、その時代のオーストリアの真の姿を描いたのか。

(評価:★3)

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