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[コメント] ある画家の数奇な運命(2018/独)

前半の、義父との運命のあたりはハラハラ、ピリピリと、空気が張り詰めた映画でした。しかし、私は気づいていなかった。この映画は3時間超の、超長尺だったということ。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







愛する叔母の悲しい別れと、ナチスドイツの支配から、戦後のソビエトの支配。違う2種類の支配の中で、運命の出会い。画家の主人公の描く「絵」がもつ意味も、時代によって変わってゆく。そういった張り詰めた前半が過ぎ、後半は西ドイツに二人そろって亡命する。そこからが「長い!」超長い。

西ドイツの美大に入学してからの内容は、半分にカットできると思う。美大教授と、隣の部屋の学生仲間だけでいいよ。

一番肝心な、義父・ゼーバント博士と主人公クルトとの関わり。博士は、最初はもっと、婦人科医だけあって、命に対して重みを感じるような、「善人」の範疇にはいる人かと思ったんだが、最初のクルトの叔母エリザベトへの処遇はもちろん、その後も、すごく特権意識の中で生きてる人。ゼーバント「博士」と呼ばれることにこだわり、その地位と権力を鼻にかける人。ソ連の将校の奥さんの難産の時だけ、その経験から命を救ったが、それも保身の為だったんだろう。一番強烈だったのが、わが娘に、勝手に堕胎手術を施すところ。

だから、どこかで彼に「罰」が下るシーンを期待した自分がいた。どこかでクルトと娘に、叔母エリザベトの件が露見するんじゃないかと思ったが、そうはならず、後半は、西ドイツでの「芸術とは」というテーマの映画になってしまった。美大の教授が心優しく、「人を見抜く人」だったのが救い。

(評価:★3)

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