コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 理由(2004/日)

問題は「理由」。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







物語の渦の中心であるはずの八代という青年が、全体の印象の中でどれだけインパクトを持ちえたかというと、かなり疑問が残る。イマイチ浮き上がってこない、というか、決定的に弱いと思う。彼のキャラ自体もそうだし、理由(動機)もそうだし。家庭環境云々というバックグラウンドの説明があるが、これだけ大風呂敷を広げた話の「理由」としてはあまりに月並。そもそも現代社会の陥穽というのは、そんな見え易いものではなく、表面上何事もないかのように見分けがつきにくいトコロに、不気味に口を空けてるからこそ怖いと思うのだが・・・。これは映画ではなく物語への不満ですが。

実体が見えにくい不明瞭な画面が、話が見えてくるにつれ明瞭になっていく手法が、そこまで効果的かは首を傾げてしまうが、偽インタビュー形式の「偽(=虚構)」の部分に意識的な作りになっているのは、(ややヤリ過ぎて上滑り感はあるとはいえ)とても面白い試みだと思う。ただどうしても最後までノレなかったのは、絶え間なく流れ続ける音楽。「女の子の登場した途端にこの音楽かよ・・・」みたいなのを始めとして、エモーショナルに過ぎると思う。

そこまで宮部作品の愛読者ではないので、エラそうなことは言えないけど、読んだものの中ではこれよりも『火車』を映画化して欲しいです。読後の得体の知れない不気味な後味はこちらより上だと思うので。

(2005/11/23)

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。