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[コメント] ビフォア・サンセット(2004/米)

再会の瞬間、息を呑む。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何気なく横を向くと、まるで本を紐解いたらそこに立ち昇ったかように、書架の隙間に彼女が佇んでいる。幻かと思わず目を疑う。素晴らしくロマンティックなシーン、と思う。

ただ物語は以前よりも現実味を帯びていて、適度に分別があり、適度に下世話で、適度にスレて、甘い喜びの中にも適度な苦味があったりする。それぞれが以前ほどひたむきではないけど、以前は時に流される自分たちがただもどかしいばかりであったのが、時の流れに途方に暮れたりもてあましたりしながらも、時には立ち止まり、瞬間の価値を確かめる余裕が少し生まれたみたいで。瞬間の幸福を噛み締めるかのようなラストシーン。外の喧騒も届かない場所で、ただ彼女の声としぐさを目と耳に焼付けて。

前作でもそうだけど、二人が交わしている会話もさることながら、それ以外のトコロに妙に目や耳がいく。通り過ぎる人々とか、光の加減によって一瞬一瞬ニュアンスを変える二人の姿とか。一番印象に残ったのは、フェリーを降り立った瞬間に、二人の影がすっかり長くなっていたシーン。そんな些細なことが、この映画の大きなテーマのひとつである「時」というものを、背後で的確に演出している。

さてさて、この後二人はどんな人生を歩んでいくのでしょうか・・・。あれこれ考えても詮無いことなので、次回また会えることを信じるとしましょう。毎日真新しい顔をして世界を見つめる猫のチェのことなど思いながら、この辺で(結局あのエピソードが一番素敵だったかな)。

(2005/12/18)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)Keita[*] 緑雨[*] makoto7774[*] ころ阿弥[*] パッチ

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