[コメント] マシニスト(2004/スペイン)
映画を見終った人むけのレビューです。
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こんな至極「真っ当な話」を練りに練ってどうするんだろ、という気が。
常軌を逸して神経が病んでいく割には、原因が「罪の意識」というのはあまりに真っ当。わざわざ原因を伏せて展開していくほどの話なのかなぁ。なんかそんなもったいぶったフタの開け方されると、まるで「ひき逃げというのはそれだけ大きな罪なんだよ」と諭されている気分。だったらジャンルを変えて、月並みでも正攻法でもっと真摯に掘り下げろよ、と言いたい。
採点に大差はないけど、個人的には『セッション9』の方がはるかに好き。
(2005/10/06)
(以下はこの映画に限らない個人的な愚痴です)
最近のこのテのジャンルの映画で一番思うことは、「日常」と「非日常」、「正気」と「狂気」のバランスの取り方、さらにはコントラストのつけ方、ということへの意識が疎かなのでは、ということ。
非日常は日常と地続きであるから、狂気は正気と隣り合わせだから不安を煽られたり戦慄を覚えたりするワケで、いっくら魅力的な非日常であっても安易に日常を越えられてしまうと、見ている間は楽しめたとしても、見終わったらすぐに日常に戻れるので、容易く夢から覚めてしまう。余韻が続かない。
特典映像でヒッチがどうとか言ってるけど、少なくともヒッチコックは、日常的な風景やアイテムを鮮やかに非日常へと反転させる術を熟知している。この映画にない戦慄がヒッチはもとより、リンチにもキューブリックにも『悪魔のいけにえ』にさえも確実に存在する、ということは是非とも強調したい。
サスペンスやミステリーというジャンルが大好きなのは、頭をコネ繰り回す楽しみ以上に、そういう後々まで尾を引く驚きや戦慄を味わいたいからなのです(極上の雰囲気で酔わせるミステリーも好きですが)。頭を使う楽しみだけなら小説でも味わえるワケですし。ともあれ淡い期待を抱いて見続けています、裏切られても。
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