[コメント] かもめ食堂(2005/日)
フィンランドにはオフビートとトボけた笑いがよく似合う。なにせカウリスマキの国だもの。
ちょっとしたセンスの拘りを見せる小道具と、選びぬかれた北欧家具と、生活にゆとりをもたせるためのちょっとしたレシピの数々と。ヘタすればコレ見よがしにもなりかねないのに、北欧の長くやわらかい光に全てが包まれると、不思議と何でも許せてしまう。これはちょっとズルイ魔法です。それはともかく、光の微妙な移ろいをあえていじらずたゆたうままに写し撮ってましたね。まるで背景に物語が歩調を合わせてるみたいでした。
いわゆるちょっと立ち止まって時や世界に身を委ねてみましょう、みたいなスローライフのススメ的な内容ですが、間のとり方を大切にしている作りは好感が持てました。ただし、この三人だからこの「間」を持たせられたのだろう、というのも事実だろうとは思います。例えば小林と片桐の初対面のシーンで、ガッチャマンのクダリをワンコーラスまるごと遣り取りさせるのは、ある程度技がなければムリだったでしょう。でもまあそんなことはいいんです。その「いいんです」、という気分にさせてくれるのがフィンランドなのです(勝手な思い入れですが)。
ついでに言うと、あえて室井滋をキャストに入れない辺りには節度を感じます。
(2006/11/4)
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