かなり混み入った内容を説明臭くならずに手際良く運んでいたと思うし、ブン屋根性なるものを良い部分も悪い部分も含めて堪能できた。主人公も、ただ正義を行使する者としてではなく、案外本人も公私のバランスがよく分からないまま描かれていたことに、かえって人間味を感じられたのも良かった。ただ、主人公だからと言って必ずしも間違ったことをしてはいけないとは思わないけど、もう少し人の命を気にかけた方が良いんじゃないかな？窮地とはいえ、駐車場のシーンで一般人巻き込むのはヤリ過ぎでしょ。

ラストのどんでん返しは否定はしないけど、それでも、｢なお消えない巨大な闇｣を感じさせる終わらせ方をして欲しかった気が。いわゆる｢悪い奴ほどよく眠る｣的な描写。そういう不気味さが薄いのが、どこか消化不良気味に感じてしまう一番の原因のような気がしました。

それにしても、このテの話はたいがい警察機構の中にもトラップが用意されているのが常套のような気もするけど、そこまで手を広げなかったことが筋が追い易かった一因かもしれない(つうかこれ以上長い映画になったら飽きてたと思う)。

(2010.4.9)