[コメント] イングロリアス・バスターズ(2009/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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あの絵面は、この絵面は、などと始まって、しまいにはブリギッテ・ヘルムなんて名前にまでイチイチ反応してしまう自分が情けない。ああでも、そういう性分の自分も悪いのかもしれないな・・・。
ともあれ個人的にはあえて深読みはせずに、ただ単にバイオレンスの映画としておきたい。その数々の唐突に始まるバイオレンスを観ながら思ったのは、彼の映画はただ単に引用をうまく組み立てる手腕がすごいのではなく、バイオレンスを始めとしたその数々の「唐突さ」を組み立て演出する手腕が長けているのではないだろうか、と。「唐突さとか過剰さこそが映画なんだぜ!」なんて、案外常識人のタランティーノ氏としては幾分の憧れを込めて言いたいのかもしれない(ヒネクレててごめんなさい)。まあただ唐突と言っても、人物の矢印紹介とか、あのテの茶化しめいたものはそろそろ止めた方がいいんじゃないかなぁ、と個人的には思うけど。
でも個人的に一番感心したのは、音の扱い方であったりもする。この映画で一番胸糞悪かったのは何かと言われれば、生皮剥ぐシーンでも蜂の巣になるシーンでもなく、ランダ大佐が生クリーム塗りたくった菓子をハグハグと咀嚼する音。あの過剰なまでの執拗な音。人がものを喰う音があんなに神経に触るものかと(逆撫でされた神経の息の根を止めるかのようにタバコをグシャッとつき立てるし)。それを筆頭にして、「熊」の登場前のバット音の執拗さとか、ナイフを研ぐ音とか、その他諸々。こんな風に考え抜かれて音が扱われているのが分かる映画は、それだけでほぼ無条件に楽しい。それが一番の収穫でした、個人的には。
(2009/11/27)
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