[コメント] 乱れ雲(1967/日)
描かれていることよりも、描かれ方にため息。
ところどころのエピソードに、やや用意されたアクシデントっぽい臭いがしてしまうのがやや難点とはいえ、演出自体は非常に抑制が利いているし、説明を排しながらも些細な描写から細やかな心の動きが目に見えるように伝わってくる。そして慎ましやかな佇まいから転じて、情感が溢れる瞬間がまた素晴らしい。今の時代では到底ニーズのなさそうなメロドラマとはいえ、これは職人の緻密な演出を味わうだけでも、価値ある一本だと思う。相合傘のシーンを始めとして印象深いシーンも多し。
脇役の絡み合わせ方がまた的確で、湿りがちなメロドラマに奥行きや膨らみをあたえている。司葉子の好演もさることながら、加山雄三演じる三島が良い。実直ながらも結構図々しいトコロが可笑しい。
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