[コメント] すべてが狂ってる(1960/日)
ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)とは、常に観客の先を走るということなのか。無軌道っぷりも破綻振りも、この映画の命。
立ち止まったら感情移入されるとばかりに疾走する主人公の無軌道っぷりは、オトナや観客の思惑を常にすりぬけ先を急ぐ。正直腰を据えてキッチリ纏め上げられても、こんな話湿っぽくて見ちゃいられんと思うのだが。思考よりアクションが常に先行するからこそ、これだけ乾いた魅力に溢れた映画になったワケで。
欲張りすぎて十分に使い切れてない設定が散見されるため、全体としては雑然とした印象。でもかえってそんなパワフルなジャズをBGMにした猥雑な世界に翻弄されることで、主人公の「負のパワー」が一層輝きを増してるような気もする。さまざまな湿っぽい設定、主人公のやり場のない怒り、にも関わらずしまいにゃ笑いさえ出てくるパワーに満ちた快作。
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