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[コメント] 盲獣(1969/日)

良いねぇ緑魔子。期待以上。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず視線が良い。対象を射抜くような挑戦的な視線の強度と、対象を奪われて宙を彷徨う視線。まさにSとMのスリリングな転換。さらに一挙一投足、体のくびれ、うねり、ねじり、体全身で醸し出されるものが素晴らしい。少々ナレーションが野暮だけど、この際置いときます。

これが乱歩の原作の全てとは思わないけど、表層の奇異ばかりにとらわれずに、独自の抽出法で、原液のような濃い世界を描き出しているということで、これはこれで見応え十分。まあ多少力技な部分も無きにしもあらずだけど、それが面白さにも繋がっているのも否定できないトコロが、増村監督なのかな。

でも、個人的にはどんなに頑張った後半があったとしても、面白さのピークは母親の死。まるで千石規子緑魔子の演技のボルテージの高さに、 体どころか言葉ですら反応できない船越英二のうろたえ振りが、案外素なんじゃないかとすら。この面白さは一体何なんだ、と興奮しっ放し。

いや、でも船越英二がイマイチというワケではなく、前半部なんかかなり頑張っていい味出してたとは思う。思うけど、後半緑魔子が壊れてオーラ全開になっていくにつれて、その後に演技の変化がない彼が徐々に食われていくのは、もう如何しようもないことで。嗚呼、哀れ・・・。

(2007/9/17)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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