「服の着替えなんて、もどかしいから一瞬で終わり！」「おじさぁん、もっと早く追っかけてくれなきゃ張り合いないよ！」、なんてザジの声が聞こえてきそうな。いらないモノなんて飛ばしちゃえ、見たいものだけ見たい、そんなせっかちなコドモの体内時計に合わせてパリの人たちがチャカチャカ踊らされてるようで、とてもステキにスラップスティックなコマ送りの風景。

そんな風にザジが周りを引っ掻き回しつつも、いつの間にやら疲れて傍観者になっていく様が、またオモシロイ。まるで自分が好きなように描いているハズの落書きが、いつしか自分の手を離れて一人歩きしてしまい、投げやりになってしまいにはありったけのクレヨン使ってグシャグシャにしてしまったような感じとでも言えば良いのか。

そして２日間のハズの観光も、コドモにとってはあっという間の一時間半。当初の目的だった地下鉄のことなんか、周りの情報量に圧倒されて、最後にはすっかりどうでもよくなってしまう（笑）。そうやって性急に目に付くモノを貪欲に吸収し、コドモは目まぐるしく成長していく。（原作に忠実なセリフだけど）「じゃあ、何したの？」「年を取ったわ」という締めのヒトコト。コレは紛れもなく名言デス。

ともあれチープな手法を駆使してハイセンスに仕上げてしまうルイ・マルの手腕には脱帽デス。