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[コメント] サスペリア(1977/伊)

ゴブリンの音楽が鳴った瞬間、監督も一気にトランス状態。に違いない。このテンションには「スタイリッシュ」なんて言葉すら生ぬるい。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







久々の再見につき、reviewを書き直しました。

挑発的ながらも、念仏のように単調な旋律が潜む音楽をバックに、恐怖に顔が歪む女たちに色とりどりのいかがわしい光の粉を浴びせる。その描写は、時に何やら生け贄の儀式めいてさえ見える(ラストの雨は、そんな不吉な色の粉を洗い流すために用意されたのだろう)。さらには蝶がもがき喘ぐ姿を味わうのには、長い時間をかけて料理した方がいい。様々な拷問めいた舞台装置でジワジワと恐怖を煽りつつ、最後に息の根をとめるのはナイフのような「鋭角的」な痛みをイメージさせるもの。アルジェント氏の美学を堪能するのは、やっぱりコレが随一かもしれない。ちなみに男(盲目のピアニスト)を始末する際には、月明かりのみで「三原色」を使わなかったのも、美学の一環なのだろうか。

舞台を飾る様々な記号さえ揃えば、話なんて後から付いてくると言わんばかりの、強引な展開。そして三原色、音楽、ワイヤーをはじめとした効果的なトラップも観客に見せる以上に、監督が猟奇殺人をはじめるにあたってトランス状態に入るための三種の神器にさえ思えてくる。とにかくテンションが異様なまでに高い。コレには敬意を表したいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)水那岐 ina ペンクロフ[*]

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