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[コメント] 千と千尋の神隠し(2001/日)

「どっかで見たような・・・・聞いたような・・・・」「この話なんだっけ?」記憶の糸を手繰りよせるうちに、頭の中の走馬灯がカラカラ回り、昔語りをはじめる。一人ぽっちの千尋をとりまく風景は、どんなにグロテスクでも、どこか懐かしい肌触り。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何しろしょっぱなの、人に置き去りにされたもの(テーマパーク)にモノノケが憑くという設定からして百物語の中の話みたい。ブタになるなんてのも迷信。というか、非常に子供の発想っぽいブラック。これらの既視感と稚気に満ちたモロモロが、全部が全部意図したものなのかどうかは、何とも言えないけど。

要は相継ぐ引越しで居場所の見えなくなった少女のアイデンティティー探しのお話。そしてその少女の対極に、他人がいなければ己が存在できないような「カオナシ」という影のようなキャラが置かれている。主人公も含め全ての人物(妖怪)は、そのテーマのために用意されたフラットなキャラ。お伽話なんだし、それはそれでもちろんOKなのだけど、突如として環境問題が出てくるのはいかがなものか。まあそんなことを初めとして、物語に余計な枝葉が多過ぎるような気がする。

大人向けとしては、いくつかのキャラ(特にヒロイン)が余りに模範的過ぎたりステロタイプだったりしてリアリティがないし、子供向けとしたら、(テーマがダイレクトに伝わるには)話が寄り道をし過ぎるような気がする。どうにも「オトナコドモ」の語る物語という感じがしてしまう。

とはいえ、やはり豊かなイマジネーションは魅力的。素晴らしく稚気に溢れている(もちろんホメ言葉です)。(3.5点)

(評価:★3)

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