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[コメント] バベル(2006/仏=米=メキシコ)

ざら目の画面に人間が生きてゆく不条理を象徴させている。何気ないひとつの行動が人間を現代の荒野の狼にさせていく。 3つの話はそれぞればらばらではなく関連性はあるのだが、みんな魂の彷徨を繰り返すのみ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







やはり3つの話では菊地凛子の突き詰めたまなざしが後々印象に強く残る。聾者というだけで、蔑み、まるで化け物を見ているかのような態度をとる日常人たち。人は差別、区別をすることのみで生きるすべを覚えている。

少々えぐい場面が強烈だが、けれどもやはり日常人たちにはこれぐらい出ないとインパクトがないのだろう。イニャリトゥの、その表現力のピュアさには驚かされる。音楽もこの東京版が断トツにすばらしい。後世に残る曲になろう。

他の二つの挿話も心優しい導き方なのである。しかし、イスラム系の人たちの悲惨さは明日への希望もなく唖然とさせられる。

父親が息子に銃を預けてしまう、やってはならないつけが決定的な悲劇に終わるというペシミズムは、アメリカ人の高いところからの眺め意識、エゴイズム等に根ざされたものである。

そしてこの映画を高見の見物をしている観客も実は本当は、この途方もない不毛の荒野の真っ只中にいるのである。

そう、現代人の僕たちには映画のそれぞれのような優しい救いのようなものが本当にあるのだろうか、、。

秀作である。

(評価:★4)

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