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[コメント] 俺は、君のためにこそ死ににいく(2007/日)

見るまでは題名がどうもストレート過ぎて引いていたのは事実で、気乗りしないまま見ていた。しかし、思っていたより、素朴な特攻隊の人々の描写にすぐそんな気持ちは忘れ去っていた。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







視点が全く地平線を見るようにナチュラルなのである。一人一人の、ある意味死刑宣告を受けた人たちの心のさまよい、それを受け止めなければならない家族、世話をする人たちの話なのである。

この視点から映画を撮っているので、世間で言われるような戦争美化などではありえなく、この映画の動機付けは、恐らくそろそろ生存者もいなくなっている状況での、書き留めなければならないというスケッチのようなものであろうと思う。

筒井道隆の3回失敗に終わり自らみんなの前で墜落死する青年、朝鮮人なのに志願しホタルとなって戻ってくる青年等々、今まで過去の映画で見たストーリーではある。

でも、この映画はまず実際あったそれらをすべての事実を書き留めておくことが重要であろうから、今まで映画化されていたからといってエピソード部分のカットはできなかったのであろう。 演出も丁寧で、さすが沖縄出身の新城卓監督、立派だ。俳優もみんな熱演で、抑えているところはきちんと抑えており感動した。

敢えて言えば、岸惠子のアイライン、冒頭のパイナップルジュースが気になったが、まあ些細なことだろう。

個人的にも、昨日パレスチナ映画「パラダイス・ナウ」を見て、自爆テロについての若者の心情をいたく感じ取っていただけに、余計感情移入があったのは事実であるが、国家が国民を人間扱いしなくなったら、その時点でその国家は私たちの国ではないですね。

いい映画だと思います。じわっと流れる涙をこらえることも忘れるぐらい、画面を見続けました。

(評価:★4)

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