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[コメント] きみに微笑む雨(2009/韓国=中国)

期待していたホジノの新作。彼は男女の愛の機微を撮り続ける映像作家だ。今回は大地震の後の四川省を背景に、名画『終着駅』を意識し、ホジノ流の愛を描写する。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ずっと彼の映画を見続けた僕からするとかなり平板になってきたなあというのがまず感想です。というのもいつもハッとする切れた映像が本作ではほとんど窺われない。四川省での野外ロケ等ドキュメンタリータッチを多用しているというのも一因でしょうが、いつものみずみずしい映像には遠く及ばない。

ローマ駅から空港へと場所は変わってはいるが切ないほとばしるような旅先での男女の恋愛である。燃え上がらないはずはない。『終着駅』とは対照的な抑えた愛の姿だ。もどかしい気もするぐらい、、。

途中で乱入を繰り返す同じ韓国人の同僚とのやり取りもスムーズとは思われない。ホジノはコメディをほとんど理解できない作家だったろうか、この場面はもっと印象の強いシーンにすべきであった。

さすがホジノと僕を喜ばせたのはさりげない自転車でのラストの邂逅シーンだ。うまいです。でもこれだけでは僕を騙せないぞと言いたい。

ひょっとしたらホジノは多少のスランプに入っているのではないか、どうもそんな気がする。前作『ハピネス』でかなり戻したと思ったが、彼本来の作品ではなかった。今回は題材を大地震後の四川省に設定することで全く違ったホジノを出せると思ったのではないか。

同じドキュメンタリータッチでも、秀作を連発しているジャ・ジャンクーの作品群の域に達していないと思う。映画作家は模索する。悩む。でもその苦しみの後完成された映像を僕たちに見せてくれるはずだ。本当に撮りたいものを撮れば、自分が内包するものをほとばしるように吐露すれば、自然といい映画になるはずだ、と僕は思う。頑張れ!ホジノ

(評価:★3)

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