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[コメント] 誰がため(2008/デンマーク=チェコ=独)

ナチスに抵抗するレジスタンスもの、と言えば今までかなりの佳作があった。でもこの映画、ちょっと毛色が違います。レジスタンスを支援する国民の顔が見えて来ないのだ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







レジスタンスとしてはまあ人数的にも通常の組織として遜色はない。特に変わった組織ではない。しかし、彼らを支援する人間が見えてこない。レジスタンスと言ってもテロリストとして養成された彼らだからか、上層部の支持者の顔はあっても、肝心のデンマーク人の顔が見えて来ない。

国民はナチスに対してどんな考えを持っていたのか、映画では分からない。(もちろん、デンマークでは当たり前のことを特に映画で説明するはずがない、といわれたら仕方ないが、、。)

主人公の二人は徹底的に殺戮に徹する男と、どうしても人を殺せない男とペアで仕事を成し遂げていく。二人の気持ちを徹底的に分析して行くその描写は鋭い。胸をつく。しかし、恋人にまで殺害命令が出たテロリストは本当の上層部の思惑に気づいていく。

テロリストを主人公とした映画では古いがアンジェイ・ワイダの『灰とダイヤモンド』をどうしても思い出してしまう。あの、ゴミの山で無残にも青春の夢を砕けさせたテロリストはいわば僕たちの青春の姿でもあった。

しかし、この映画ではそんな青春のいぶきはほとんど感じられなかった。恋人を殺すかどうか悩む若者の話だったり、レジスタンスにのめり込むことにより妻に浮気される哀れな家庭人の話だったりするのである。

がんじがらめに封じ込められた自由を解放する、といったレジスタンスものの王道としての主題はこの映画からは強く感じられなかった。むしろナチスに占領されても仕方がない、といった日和見主義の人たちが多かったのだろうか、冒頭から主人公たちがナチスがこの国に占領化体制に置いた日、4・9をあれほど強く意識しているのに、一般民衆との乖離がこの映画からは見て取れた。

デンマークて、戦時中はフランスやイタリアみたいにそれほど一般大衆の抵抗がなかったようですね。だからかもしれませんが、彼らの死に対してもそれほどの哀惜の思いは僕は湧いてこなかったのも事実です。ちょっと僕的には消化不良気味の映画といったところでしょうか、、。

後少々不謹慎かもしれませんが、重要なケテイ役の女優。演技はよかったが、少々あの若者と年齢と容貌的に不釣り合いだと思いました。説得力がないのです。(僕だけかもしれませんが、、)

でも、演出、映像、演技それぞれ水準よりかなり高く立派な映画です。

(評価:★4)

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