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[コメント] レ・ミゼラブル(2012/英)

だいたいミュージカルは少々苦手で通常は見ない。しかし、予告編のアン・ハサウェイの絶唱ぶりが身震いするほどで、あの感動をいま一度という想いで即映画館へ、、。
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**ネタバレ注意**
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なるほど、斬新なミュージカルであります。それぞれの歌唱が息使いまで感じられ、その想いが十分込められている。その内全面セリフが99%歌唱になっていることも気にならなくなる。(昔々「シェルブールの雨傘」が実にそれが100%だったので辟易したことからすると雲泥の違いだ。)

でもこの映画はミュージカル版レ・ミゼラブルが原作と言っていいんだろうなあ。ユーゴーの原作はほとんどダイジェストになっている。舞台で感動するのと映画とではやはり本質的に違いがあると思う。どうしても映画はリアルさを求めてしまうからだ。

だからそれぞれのエピソードで感動しかけたらあっと言う間に舞台の幕が変わっている。舞台ではそこがまたいいのだろうが、映画では見ている映像と反応している脳波とがぐちょぐちょになっている。

まあ、ダイジェストでもいいけれど、ラッセル・クロウのあの死に方も意味不明気味で唐突だし、あの、甘ちゃんブルジョア革命家がすぐ転向し見知らぬ娘とめでたく結婚する展開は原作でもそうだったのかなあ、何か違和感すら感じました。ハッピーエンドでよかったなんて言えないふっ切れなさが残滓となっている。

とは言え、個人に目を向けるとアン・ハサウェイの身を呈する熱演が後々印象的だし(前半でほとんど登場しなくなってしまうので残念だが)、ラッセル・クロウ の意外な美声にも驚く。勿論ヒュー・ジャックマンの達者な演技・歌唱力も驚きの範囲を超えている。そして恋されるサマンサ・バークス(コゼット役のアマンダ・セイフライドを食っちゃってる)に精いっぱいの誠意を見せるエディ・レッドメインも素晴らしい、いわゆるイケメンぶりではないか。あまり関係ないけど。

あと、もうこういう役をやらしたらグンバツの ヘレナ・ボナム・カーター夫妻はストーリーがダレる寸前のかき回し役でリズムをうまくつないでいる。

結論です。この映画、劇団四季系のミュージカルが好きな方は絶賛されると思います。映画的にも十分見応えのある映画だと思います。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)カルヤ[*] けにろん[*] Orpheus[*]

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