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[コメント] 地獄でなぜ悪い(2013/日)

園子温のたまりまくったマグマを発散しちゃったらこうなるねん、とでも言いたそうな怪作。いやあ、面白かった。映画が好きなんだよね、園も僕たちも、そしてこの作品に出演した全俳優・スタッフたちも。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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もう1,2回見ないとどれがどの作品のオマージュか分らないほどスゴイ。

少しずつ振り分け置いていた伏線がラストに向かって糸を紡ぐように収束してくるところはさすが園が映画作家として一流であることを示す。ニヤニヤするほど楽しいのだ。映画を見ている間、ずっと僕はくすくす笑ったり、あっと奇声を発声したり、それはそれはいつもの自分ではないように思われるほど、ある意味わたくしは変身していたのでした。

映像の平田と同じく好きなものはやめられない。年を喰っててもあるはずのない夢を追って彷徨うのも映画青年(少年)の運命(さだめ)。そのために血は吹き出て、首は飛んでも致し方ない、本望の前にすべてふれ伏すのみだ。

僕が一番気に入ったオマージュシーンはミツコと公次の死にざまであります。まさに「俺たちに明日はない」のボニー&クライドそのままだ。荒くどぎつい映像の中に咲いた一輪の清純な花。素晴らしい。これが映画なんだよね。

この映画の出現で、もはや園子温はかの映画好き少年たるとされる北野武を超えてしまったといっても過言ではない。作りたいものがまだまだ充満している園子温。彼に僕は日本映画の永遠を見る。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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