コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ムード・インディゴ うたかたの日々(2013/仏=ベルギー)

ゴンドリーの映画、今まで見てはいたが僕には少々とっつきにくい感触だった。この作品も多少そういう部分もあるが、見ている間にどんどん惚れこんでいく自分に気づく。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画にしかできないイメージが全編に溢れていて、薄っぺらい映画が多い中これはすごい。立派。まさに映画愛が結実し、その表現力は見事の一言だ。この映画は感覚で見る映画だね。こんな映画は大好きだ。

いろいろ奇抜でおかしげな道具が出てきて楽しめるが、この段階で「これ何?」となったらこの映画の本質から遠ざかってしまうことになる。映画とは一つの芸術作品でもあり、まさに想像の世界、いわゆるイマージュの世界である。そこにあるのは豊饒なイマージュ。この素晴らしさを享受できる喜び、、。

ちょっと違うかもしれないが、何かチャップリン的なイメージもある。お茶目で哀しくそれでいて残酷だ。

妻が難病で夫もすべて彼女に捧げ、ぼろぼろになっていくところの凄さよ。彼女の胸に咲く蓮の花。それはすべての花まで枯らしまう猛菌(?)である。蓮の花って仏教では泥水に咲く小さな花だと言われる。彼女は世の中の汚物を吸い取って生きる気高き女性なのだ。

それなのにカネがないからって貧相な棺桶に彼女を収め、運ぶのが面倒だからって2階から落としてしまう葬儀業者。これが世の中の現実なんだよね。

でも夫の、愛する人を見つめる心は不変である。あれほどブルジョアだった夫が貧乏人に成り下がっても、人を愛するその心の高みは誰より数段上で、不変である。

もう素晴らしすぎてこれこそDVDで何度も見てみたい映画である。ゴンドリー、ありがとう。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。