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[コメント] 黄金のアデーレ 名画の帰還(2015/米=英)

全般に抑制の効いた作品だと思う。底辺にうごめく人権侵害も、戦争犯罪も、大仰でなく淡々と切実に訴えている。名画を介して、ある一つの家族の没落と再生を奏でている。実に見事である。
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実際に自分がそこに入り込む回想シーンが実に素晴らしい。そこには少女時代の思い入れや家族の肖像がふんだんに満ち溢れている。今は亡き親のことなどを思うとき、僕もそういう郷愁の思いも分かる年代となってきた、、。

裁判光景も実に簡潔で面白い。外国の裁判ってこんなに早く決定されちゃうんでしたか。外国事情も面白く退屈するこなく2時間を鑑賞。主役のヘレン・ミレンも相変わらず適切な演技で安心できる。また、最近よく見かけるライアン・レイノルズ もなかなかの好演技。画面を柔らかくさせる雰囲気を持っています。

でも、一番気になって感じたこと。彼女が両親を捨てて逃げ延びて今の自分があるということ。それを彼女は悔恨する。でも戦争というものは、親は子供を犠牲にはしない。そういうものです。

この美術館は実は今年3日間ほど通ったのだが、このアデーレは見たつもりになっていました。自分的には(そのため)ウィーンに彼女は最後になって寄贈するものだと思っていたので、思いがけない結論でした。

やはりそうであれば、このアデーレは「カネ」というものに最終的に規定されたんだと、少々げんなりもする。彼女のウィーンへの、あた家族への思いはどうなってしまったのか、と勝手に自問しました。

まあ、事実を根拠に作っているので映画的脚色はできないが何ともね、、。作品的には秀作です。

(評価:★4)

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