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[コメント] パターソン(2016/米)

ジャームッシュの映画って、今まで3本しか見ていない。しかもそれほど高評価でもない。そして何気なく見た映画だった、、。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これがものすごくいい。現代で、ミサイルが飛んでくるかどうか分からないこの世の中で、ごく僕らの周りにこんな小さな幸せが潜んでいる。

そこにあるのにみんなちょっと上を見ている。頑張っている。でも気づかない一日の市井の平凡さが一番人間の幸福なんだ。そんなことを感じさせてくれる。実にいい映画です。

この夫婦の朝の寝覚めの姿が実に美しい。6時15分過ぎ。男は起きる。そして妻にそっと口づけをする。そのしぐさの愛らしいこと。

一週間の話である。何も変わったことはそれほど起きない。名前の通り、パターン化した行動を取る男である。少々事件が起きるのは犬の散歩の帰りによるバーでの出来事ぐらい。でも、みんないい人たちばかりだ。人生をみんな生きている。

この物語の最後に、この決まり切った日常に、多少変化が出る。日本人詩人の登場だ。ノートにつぶやくように記述していた詩を突然亡失してしまい、途方に暮れていた時、彼は現れる。不思議な人物だが、どう捉えたらいいのだろうか。

まるで、詩の神様が地上に降りて来たようなファンタジーを感じる。絶品である。この男は真っ白のノートを神様からもらい、また詩を書いてゆこうという気持ちになる。そして映画はまたリフレインの月曜日に戻る、、。

うーん、こんな映画を見たかったのだった。こんな夫婦にあこがれていたのだった。こんな町に住みたかったのだった。でもどうしてこの夫婦には子供がいないのだろうか、、。

そうですね。子供がいるとこんなユートピアは生じないんでしょうなあ。それはこの話が天上の物語であることを謳っているのではないか、と思われてくる。

ジャームッシュの最高作ではないだろうか。

(評価:★5)

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