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[コメント] ダンケルク(2017/英=米=仏)

今一番気になる監督、ノーランの新作である。意外や戦争映画である。しかも退却こそ最大の攻撃であるとの消極的な行為に見える戦争映画である。ノーランがこの作品に賭ける思いはいかなるものか。
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過去の秀作群からすると随分普遍的な映画になっていると思う。映像的にはそれでも大胆で、さすがと思われるシーンもあるが、全体的にはやはり逃げることの意味を描いているのだから、戦争抑揚映画とはならない。

恐らくノーランはそれを撮りたかったんだろうなあと思う。何も対戦するだけが戦争ではないのだから。

ちょっと感じたのはノーランにしては癖がないのである。描き方がストレートなのだ。素直なのだ。すがすがしさまで感じるほどだ。

そうこの映画は戦争映画であるのに、感動するところが少ない稀有な作品でもあるのだ。感情に訴えず、ただただその時起きた事実を見ることに徹する映画なのだ。

やはり僕には最近見たメル・ギブソンの「ハクソー・リッジ」の方が好きかなあ。ギブソンは傍観はしない。まさに戦争そのものを真正面から見つめている。直球である。

俳優陣は最後にちゃんと顔を見せるトム・ハーディ、ケネス・ブラナー以外は有名でない俳優をそろえ新鮮である。それもこの作品の主題を貫く手段なんだろう。

この退却が後のノルマンジーにつながることをわれら日本人は知らない。欧米人はそれをしっかりと見据えている。この違いはこの映画の見方に何か影響を与えるのであろうか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)まー[*] Orpheus シーチキン[*]

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