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[コメント] A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017/米)

静かな不思議な映画です。愛する人との別離・諦観・切なさ・喜びを謳い上げた作品です。ただ映画的手法がちょっと度肝を抜く感じなので、少々驚く。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あのシーツをかぶった男の哀しみが空いた目の空間から浮かんでは消える。

シンプルな映画です。男と女の愛の生活は男の不慮の死により、断ち切られる。女はしばらくは立ち直れないが、それでも前に向かって進もうとする。普通の映画はそこで終わるのだが、この映画はそこから始まるのだ。

男は病院のシーツをかぶったまま、家に戻り女と共棲する。女は気づかない。男は家にとどまるが、家は取り壊され、ビルに建て替わる。それでも男はそこに住み着いている。

男は過去に遡ることもできる。アメリカの原住民の生活にまで戻る。そして彼らの悲惨な死を見てしまう。人類は愛という名のもと、殺戮の歴史を経て現代に至っているのだ。人間の生と死のはかない営みは、しかし宇宙的な規模から考えると、永遠のものでもなく、いつか終わってしまうものなのだ。それでも人間は生きてゆくしかない、、。

と、この映画は静かに僕らに伝えている。このシーツに覆われた男も、壁に隠された女からのメッセージを見たとたん、宇宙の塵となり消滅してしまう。美しいラストである。

死にきれない男からの目線で1本の映画を描き切った不思議な作品です。僕らもひょっとしたら、ただ彼らを見えていないだけかもしれないですね。優しい気持ちになれる作品でした。

(評価:★4)

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