コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] レ・ミゼラブル(2019/仏)

総合的に優れてる、と言ったら身も蓋もないが、欠点のない映画である。冒頭のフランスを嫌が応でも見せつけるシーンから、ラストとのシンメトリーする対称性、沸々と怒りが爆発する心理描写といい、うまい。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







舌を巻く。才能なんだろうなあ、こんな映画をさらりと撮れるということ自体別格の映画ですなあ。

と、こう、賛美しているようですが、実はあまり好みではないです。作品が立派なのと、映画の嗜好とは別物です。

でも、とは言いつつ、また作品に戻ると、無駄なシーンが一つとない。スラムでの執拗な生活臭のリアル。さらに、それぞれの警官が疲れ果てて、実生活に戻るときにふと感じるただならぬ人生観。その時、僕はふと我に戻った。この人は人間を知っとるね。まだ若いのに人を見るそのまなざしは本物だ。

全体的な感想を言えば、視点が体制側から描かれているのだが、観客の視点がどっちつかずに揺れることかな。こういう描き方はまた珍しい。こういうしたたかなところがこの人の大人の部分なんでしょう。ずるいといえばずるい。でもその分作品の構造が重層的になっているのも事実。すこぶるうまいんだ。

と、嗜好は別とは言いつつ、すっと褒めてますね。いやあ、やはり好きなのかなあ、、?

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] シーチキン[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。