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[コメント] 星の子(2020/日)

考えたら大森立嗣って、秀作が続く映画作家ではないのだろうか。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「日日是好日」で、人生の深淵に少々たどり着いたと思ったら、「MOTHER」で走り過ぎ、そして本作で時間が止まったかのようなスローな慈しみを描く。「ゲルマニウムの夜」のような迸りが今となっては懐かしい限りだ。

さて、この作品、新興宗教という暴力のような病気が家庭に吹き荒れるとき、家族はどう対峙したか、というテーマを平衡感覚を持った娘たちから描いている。娘たちといっても、姉は家族から逃避し、自分を守り、ほとんど出てこないので、妹の心の襞を描いている。

妹は両親をこんな風にさせてしまった原因が自分だと思い、両親に寄り添い、じっと佇んでいる。そんな彼女の中学卒業までの6か月を描いた映画である。

ドラマとしてはあまりドラマチックな部分もなく、平穏に時が流れる。家族を守る、家族と共に生きるという強い意志があるから、彼女は全くぶれることなくその日を生きる。そしてどんな環境でも家族はやはり一本の糸で結ばれている、という自覚を持ち、このドラマは終わるのだ。

でも、何だかねえ、僕の心に跳ね返ってくるようなハンマーの音が全くない。共鳴しない。まるで僕とこの映画は関係ないようなそんな感覚だ。

こういう現象は映画を見ていてまず珍しい。たまにはこういう映画もあるよ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)水那岐[*] おーい粗茶[*]

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